斑鳩の家

居住空間の一部としてプラン二ングに活かすことで、空間的にも視覚的にも豊かな広がりをもたらす中庭。
外に向けては閉鎖的な建物になるが、それを感じない空間構成としたいと考え、バルコニーの腰壁は透過性のある物を使い、三方には大きな窓をもうけた。
陽がのぼり、光が差し込む。風が吹いて枝葉が揺れる。そんなあたりまえの自然とのつながりをしっかり感じとりながら、なにげない日常をおくることができるように。

くつろぐ場所はリビングだけなくても良い、家の至る所にお気に入りを作りたい。
そんな発想で玄関からリビングへの廊下部分にもうけられたヌック。
腰掛けた窓は中庭へ続き、人目を気にせず過ごせるおこもり空間をつくった。
リビングと少し離れていることで、家族の気配を感じながらも一人の時間も楽しめる。
みんなのお気に入りの場所へ。

シンプルで簡素。
だが、高い位置にある十字の風窓が、
この家の表情をつくりだす。
地形に合わせ北東と南西に作られたこの窓からは、山の裾から優しく吹き抜ける風が通り、太陽や月の移ろいをも眺められる。